パワハラ相談窓口の設置義務、中小企業は何をすればいい?——指針が求める措置を一次資料で整理
2026年9月30日 · Furatto運営 · 最終確認日 2026年10月1日
パワハラ防止のための「相談窓口」は、2022年4月から中小企業でも設置が義務になりました。ただ、指針を読むと、求められているのは窓口という「箱」だけではありません。この記事では、厚生労働省の指針が事業主に求めていることを一次資料に沿って整理し、義務を満たしたうえで、なお残りがちな「窓口の手前」についても触れます。
いつから、誰に義務があるのか
職場のパワーハラスメント防止のための措置は、労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)にもとづく事業主の義務です。厚生労働省によると、大企業は2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日から義務化されています。
具体的に何をすべきかは、厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)に定められています。以下、この指針に沿って見ていきます。
指針が求める措置は「窓口」だけではない
指針が事業主に「講じなければならない」としている措置は、大きく次のとおりです。
- 方針の明確化と、その周知・啓発——パワハラを行ってはならない旨の方針や、行った者への対処方針を定め、労働者に周知する
- 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備——相談窓口をあらかじめ定めて周知し、担当者が内容や状況に応じて適切に対応できるようにする
- 事後の迅速かつ適切な対応——相談があったら事実関係を確認し、被害を受けた人への配慮や行為者への措置、再発防止を行う
- あわせて講ずべき措置——相談者・行為者等のプライバシーを守り、相談したことを理由に不利益な取扱いをしない旨を定めて周知する
相談窓口は、このうちの一つです。窓口を置いても、方針の周知や事後対応がなければ義務を果たしたことにはなりません。
「相談窓口を定めている」と認められる例
指針は、相談窓口をあらかじめ定めていると認められる例として、次の3つを挙げています。
- 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること
- 相談に対応するための制度を設けること
- 外部の機関に相談への対応を委託すること
中小企業では、総務や人事の担当者を窓口に指名するか、社労士事務所や専門の外部窓口サービスに委託するケースが多いでしょう。どちらでも、労働者に周知されていることが前提です。
見落としやすいのは「広く相談に対応する」という部分
指針は、窓口の担当者が適切に対応できるようにすることを求めたうえで、次のような趣旨を書いています。
- 被害を受けた労働者が萎縮するなどして相談をためらう例もあることを踏まえる
- パワハラが現実に起きている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、該当するか微妙な場合でも、広く相談に対応する
- 放置すれば就業環境を害するおそれがある場合や、労働者同士のコミュニケーションの希薄化など職場環境の問題が背景になっている場合も考えられる
つまり指針自身が、「相談はためらわれやすい」「深刻になる前の段階も拾うべき」と認めています。ここが、窓口を置いただけでは埋まりにくい部分です。
まず、会社がやること
指針に沿って、会社がまず整えるのは次のとおりです。条文の細部は記事末尾の出典(厚生労働省の指針)で確認してください。
- 方針を決めて、全員に知らせる——パワハラを行ってはならないこと、行った場合の対処の方針を就業規則などに定め、研修や社内報で周知する
- 相談窓口を決めて、知らせる——担当者を指名するか、外部の機関(社会保険労務士事務所や専門の窓口サービスなど)に委託する。連絡先と相談の流れを全員に知らせる
- 担当者が対応できるようにする——人事部門と連携できる仕組み、対応の留意点をまとめたマニュアル、担当者への研修を用意する
- 相談があったときの手順を決めておく——事実の確認、被害を受けた人への配慮、行為者への措置、再発防止
- プライバシーを守り、不利益に扱わないと伝える——相談者・行為者の情報を守る手順を定め、相談したことを理由に不利益な扱いをしないことを周知する
その中で、Furattoが使える場面
窓口を整えたうえで、Furattoは次のような場面で役に立てます。
- 周知の場として——相談窓口の連絡先や相談の流れ、相談しても不利益な扱いを受けないことを、社員が日常的に開く場所に掲示できる
- 窓口の手前として——「これはパワハラと言えるほどのことだろうか」「窓口に行くほどではない気がする」という違和感や、職場環境への意見が、匿名のまま上がってくる。他の社員は「自分も同じ状況だ」と共感票で示せる
投稿と投稿者の紐付けは分離して保管し、誰が書いたかは管理者の画面にも他の利用者の画面にも表示されません。管理者は、個別の相談を受けるのではなく、「どんな違和感が、どれくらい上がっているか」を早めに知ることができます。
なお、Furattoは法律上の相談窓口ではなく、管理者の画面に投稿者が表示されない設計のため、個別の事実確認や被害を受けた人への対応はできません。導入しただけで指針の措置を講じたことにはならないので、窓口は上のとおり整え、Furattoと併用してください。
まとめ
- 中小企業も2022年4月から、パワハラ防止のための措置が義務
- 求められるのは、方針の周知・相談体制・事後対応・プライバシー保護と不利益取扱いの禁止の周知まで含めた一式
- 指針は「相談はためらわれやすい」「微妙な段階でも広く対応」と書いている
- Furattoは、窓口の周知の場や、窓口の手前で声が上がる場として併用できる(法律上の窓口ではない)
法令や指針は改正されることがあります。実際の対応は、最新の一次資料と、必要に応じて社会保険労務士・弁護士などの専門家に確認してください。